副作用防止にも一役 医薬分業
病院で薬をもらう時、かつては会計の時に病院の窓口で一緒に薬を渡させるの が一般的でした。最近は、病院で「薬」の代わりに「処方せん」(薬の種類や量 などが記載された文書)を渡され、薬そのものは薬局にもらいに行くケースが増 えています。このような仕組みを「医薬分業」といいます。
相互作用や重複投与をチェック
近年の医療の進歩は目覚しく、十数年前までは極めて高度な技術だと考えられ
ていた臓器移植なども広く普及しつつあります。薬の種類も膨大になり、医師が
治療から薬に至るまで一手に引き受けることが難しくなってきました。そこで、
診断・治療は医師、薬は薬剤師に任せ、それぞれが専門知識と能力をフルに発揮
できるシステムに改めようとして考えられたのが「医薬分業」です。薬局に処方せんをもっていくと、薬剤師が薬の種類や効き目、飲み方、注意点
などを丁寧に説明してくれます(服薬指導)。薬局では患者さん1人ひとりにつ
いて、その体質や過去に飲んだ薬などの記録を作るので、過去にアレルギーや副
作用が出た薬を処方されたとしても薬剤師が医師に確認して変更してくれます。
また、お年寄りのように複数の診療科にかかっている場合、同じ薬を処方され
る「重複投薬」や、薬の飲み合わせで重い副作用が出る「相互作用」が懸念され
ますが、いつも処方せんを持ち込む「かかりつけの薬局」をもっていれば、薬剤
師がチェックしてくれますので、こうした心配もなくなります。病院と薬局両方
に行くのは面倒だ、と感じるかもしれませんが、患者さんの安全を守り、質のい
い医療を提供していくうえで、「医薬分業」は欠かせないものなのです。